花材の切り方


いけばなは、木や草花を切るという動作なしでは、行うことができません。花材を花器の大きさに合った寸法に整え、余分な枝や葉を取り透すときには、必ずハサミで切るということが必要です。切る道具には、大抵の場合はハサミだけで間に合いますが、他にノコギリや、ナタなどもあります。


  草もの

ごく普通の草ものを切る場合は、ハサミの刃を茎に直角にあてて輪切りにします。すると、切断面が平らになってやわらかな草花でも剣山にしっかりと固定できます。細い茎はハサミの刃先で、太い茎は奥に挟んで切るようにします。

斜めに切ると切断面が広くなって水揚げ効果が高くなりますが根本が弱くなって剣山に挿した場合にくずれて留めにくくなります。

  木もの

木の枝を切るときには、草ものと違って相応の手応えがあります。これは、植物繊維の抵抗をより強く受けるためで、それを軽減するには枝に対して、45度くらいにハサミを当てて切ります。剣山にも挿しやすく折り入れの花器にも留めやすくなります。

太い枝は、切れ込みを入れて折るか、2・3回にわけて切ります。


水揚げと回復法

いけばなは、切り花や切り枝を材料とするので、なるべく長時間、切り取ったばかりのイキイキとした状態を保つ工夫が必要です。その工夫を水揚げといいます。

  水揚げ

植物は、導管の毛細管現象によって水を吸い上げていますが、茎を切るとその切断面から導管に空気が入り込んで給水が妨げられます。そこで、空気の入った根もとを水中で切り落とし、導管に直接水が入り込む様にします。この場合なるべく花器の深い所で行うと水圧が加わって効果があります。

水切りの他に、割を入れたり、削ったり、皮をむいたり、つぶしたりといった給水面積を広げる方法や根もとを焼いたり、煮る方法、アルコールなどの薬品を使う水揚げ法もあります。

  回復法

花材がしおれた場合は、まず、花材を逆さに持って水をタップリとかけ湿らせた新聞紙に包んでしばらく横たえておきます。その後水を深めに入れたバケツの中で水切りをして、そのまま養生させると良く回復させる事ができます。


花器と道具 生花の花器 盛花の花器 折り入れの花器 花台と敷板
道具類
基礎技術 花材の切り方 花配りの作り方 留め方(1) 留め方(2)
生花の基本 生花の概説 三才型(真) 三才型(行) 三才型(草)
三才型の変化 陰陽型の基本 陰陽型の変化 五行型


(株)敬風社「日本古流いけばな」より