三才型の基本(真)
三才型は天、地、人という三つのはたらきを、真、体、留の三つの役枝によってあらわす花型です。いけ方や用いる花器によって真、行、草の三形に分けられ、さらにそれぞれが真、行、草に分けられます。つまり、真の真、真の行、真の草というように真が三つ、行が三つ、草が三つの合わせて九つの花型が展開されます。
三才型は最も基本となる花型です。「才」という字には「働き」という意味があり、「三才」とは天、地、人という宇宙の中での三つの大きな働き手を示します。人間は天地自然と対立し、これを征服する存在ではなく、天地自然に順応すべきものと考えます。さらに進んで万物を育む天地のはたらきに参加するものであります。天地のはたらきには無限の調和と目的をもった法則性が含まれますが、それは人間の世界にも共通であると考えました。そこで天を司る枝を「真」とし、人を司る枝を「体」とし、地を司る枝を「留」と称しました。天(真)と地(留)の間に人(体)が配され、調和のとれた一つの小宇宙をあらわすわけです。
真
「活花大意」によると、「真のいけ方は真の幹に屈伸少なくいけるもの」とされています。つまり、中心となる真の役枝をあまり曲げずにいける花型です。真は「弦月の上部」を、体は「五行の生る部分」を、留は「花器の口より留枝を有する部分」を領するとされ、添の枝を適宜にはたらかせて花型をまとめます。また、真の花型は置いて飾る花器にいける花型であるとされています。役枝のはたらかせ方によって、真の真、真の行、真の草の三つに分けられます。
真の真
真の曲がりが浅く、端正な形で、最も高い品格と格調を備えた花型です。

いけ方
暁めがよく効き、黄変した葉先が美しい孔雀檜葉を使いました。
1.真の枝を弓状にあまり深く湾曲させないで挿します。
2.真の前添と真の後添を加えて、真の枝にボリュームをつけます。
3.体を左斜め上に向けて挿します。
4.留の後添と留の前添を入れて、腰の部分に厚みを加えます。
5.留を、枝先を右方へ向けて挿し、全体の形を整えていけ上りです。
真の行
体の枝が大きく流れる形で、横に広がりのある伸びやかな花型です。

いけ方
まず、真の枝を挿しますが、左へ長く振り出す体の枝をきわ立たせるように、丈は短めにします。また、体の枝の伸びに合わせるように、弓状の曲がりをやや深めにするのも要点です。体は思い切って横に流しますが、長さは全体のバランスをみて定めます。留の枝は、真との釣り合いをとる上でやはり短めにして挿します。
真の草
受の枝が湾曲して流れる形で、弾むような躍動感が感じられる花型です。

いけ方
真の枝はやや長めにし、浅めに曲げて挿します。受の枝は細めの流れ枝を選びますが、真の枝に添わせるように入れて、真の丈の半分より上の部分から分かれるようにします。留の枝は、受との関係で短めにしますが、受と留とで形づくる円状の空間にはたらかせるように、留の添を入れて仕上げます。
(株)敬風社「日本古流いけばな」より




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